Nikken Kiso Consultant

スウェーデン式サウンディング試験
(Swedish Weight Sounding)

スウェ-デン式サウンディング試験は、スウェ-デン国有鉄道の土質委員会が1917年頃に不良路盤の実態調査を行う際に採用し、その後スカンジナビア諸国で広く使用されていたものです。
わが国においては、1954年頃に建設省(現、国土交通省)の堤防地盤調査で初めて適用されました。その後、日本道路公団等において路線地盤調査などに使用され、今日の普及を見たものです。
この試験方法は、装置および操作が容易で迅速に測定ができ、簡易なサウンディングのうちでは比較的貫入能力に優れているなどの利点を有しており、最近では、戸建住宅など小規模構造物の支持力特性を把握する地盤調査方法として最も多く用いられています。
本試験の規格は、1963年に土質工学会(現、地盤工学会)基準の原案が作成され、1971年に土質工学会サウンディング基準化委員会によって基準案の全面修正により、1976年にJIS A 1221「スウェ-デン式サウンディング試験方法」として制定されました。 一方、建築基準法の改正および「住宅の品質確保の促進に関する法律」の施行といった地盤評価に対する認識も高まるなか、規格原案の作成者である地盤工学会では2000年4月にスウェ-デン式サウンディング試験方法改正委員会を設置し、JIS A 1221の改正原案を作成し、所定の手続きを経て2002年に改正が確定されました。

器具詳細

試験方法

  1. 長さ0.8mのロッド先端にスクリューポイントを取り付け、ポイント下端から50cmの所に載荷用クランプ下面を合わせてクランプを固定し、底板を通して調査地点上に鉛直に立てて支える。
  2. このままロッドが地中に貫入するかどうかを確かめ、貫入する場合は荷重に対する貫入量を記録し、貫入しない場合は荷重を載荷用クランプに順次載荷(荷重段階は、0.05kN,0.15kN,0.25kN,0.50kN,0.75kN,1.00kN)する。途中貫入する場合は荷重に対する貫入量を記録し、その操作を繰返す。
  3. 載荷荷重1.00kNで貫入が止まった場合には、ロッドにハンドルを取り付け、ハンドルに鉛直方向の力が加わらないように回転し、次のロッド目盛線(25 cm)まで貫入させるのに要する半回転数を記録する。
  4. 測定が終了したら、載荷荷重を取り除き、引き抜き装置により貫入した全ロッドを引き抜き、ロッド本数およびスクリューポイントの異常の有無を調べる。

試験結果

図1は、スウェーデン式サウンディング試験の結果をまとめたものです。貫入深さ25cmまでは、1.00kN(100kg)の荷重をかけただけで自沈しています。 次の25㎝では0.50kNの荷重で、さらにその次の25㎝では0.25kNの荷重で自沈してしまいました。貫入深さ2.00mで初めてハンドルに回転を加え、以降は徐々に回転数が増え、貫入深さ5.25~5.45間に半回転数60を記録したところで測定が終了しています。


図1

この調査で次のことが分かりました。
① 0.25kN~1.00kNの荷重だけで貫入(自沈)してしまった。( 軟弱層が確認できた。)
② 半回転数Na=1~42 の落ち着いた地盤が確認できた。
③ 半回転数Na=60以上の硬質地盤が確認できた。

Point

  • 装置や操作が容易で迅速に測定できる。
  • 非常に硬い地盤で貫入不可能とならないかぎり15m程度まで測定できる。
  • 小さい荷重でロッドが貫入するほど地盤が軟弱!
  • ハンドルを回転させることで、キリを回すようにロッドが貫入していく。ハンドルの回転数が少ないほど地盤は軟らかい。

試験結果の利用

1)換算N値、一軸圧縮強さ、粘着力を求める。

① 換算N値

スウェーデン試験結果(WswとNsw)から、標準貫入試験で得られるN値に相当する換算N値を求める。

  •  砂質土 N=2Wsw+0.067Nsw
  •  粘性土 N=3Wsw+0.050Nsw

記号
Wsw:スウェーデン試験における貫入時の荷重(kN)
Nsw:スウェーデン試験における貫入量1mあたりの半回転数(回 150を超える場合は150とする)

② 一軸圧縮強さ(qu)と粘性土の粘着力(C

  • 一軸圧縮強さ  qu=45Wsw+0.075Nsw (kN/m2
  • 粘着力    C=qu/2 (kN/m2

2)地盤の長期許容支持力度を求める。

地盤の許容支持力度は、ボーリング調査、土質試験などで求められた地盤定数から、支持力式や平板載荷試験などにより算定することができるが、ここではスウェーデン式サウンディング試験による方法について述べる。
その他の方法については、日本建築学会『小規模建築物基礎設計指針』を参照されたい。

長期許容支持力度は、スウェーデン試験の貫入抵抗値(Wsw、Nsw)を用いて以下のいずれかの式により算定できる。

  • qa=30+0.6Nsw --------------平成13年度 国土交通省告示第1113号の式 ()
  • qa=30Wsw+0.64Nsw -------日本建築学会推奨式

記号
qa:  地盤の長期許容支持力度(kN/m2
Wsw: スウェーデン試験における貫入時の荷重の平均値(kN)
Nsw: スウェーデン試験における貫入量1mあたりの半回転数の平均値(回)
(150を超える場合は150とする)
なお、告示式では、対象とする深度は基礎底面から下方2mまでとしている。


※ 国土交通省告示第1113号 より抜粋
地盤の許容応力度を定める方法は、次の(1)項式、(2)項式又は(3)項式によるものとする。ただし、地震時に液状化するおそれのある地盤の場合又は(3)項に掲げる式を用いる場合に於いて、基礎の底部から下方2 m以内の距離にある地盤にスウェーデン式サウンディングの荷重が1kN以下で自沈する層が存在する場合、もしくは 基礎の底部から下方2mを超え5m以内の距離にある地盤にスウェーデン式サウンディングの荷重が 500N以下で 自沈する層が存在する場合にあっては、建築物の自重による沈下 その他の地盤の変形等を考慮して建築物又は建築物 の部分に有害な損傷、変形及び沈下が生じないことを確かめ無ければならない。

(1)項式 : qa=1/3(icαCNc+iγβγ1BNγ+iqγ2DfNq)
(2)項式 : qa=qt+1/3N'γ2Df
(3)項式 : qa=30+0.6Nsw (kN /m2

(1)項式、(2)項式の式による許容支持力の算出方法の詳細は 「小規模建築物基礎設計指針」 を参照されたい。

ニッケンキソ・コンサルタント株式会社

〒160-0022
東京都新宿区新宿2-6-4
新宿通東洋ビル7F
TEL 03-3350-6625
FAX 03-3350-6669