標準貫入試験
ボーリング
我が国で数百年前から行われてきた「上総堀り」に代表される井戸掘り用のパーカッション式ボーリングは、弓竹の弾性を利用したものです。 同様な原理で地盤を掘削するロープパーカッション式は、アメリカで考案され、明治初期に初めて輸入されたとされています。 現在広く使用されているロータリー式ボーリングマシンの原形は、明治末期から英国、アメリカ、スウェ-デンなどの国々から我が国に輸入され、1915年には国産のロータリー式ボーリングマシンが試作されました。 輸入された機械の形式は、様々なものでしたが、比較的低速回転のハンドフィード式が主流となり、石炭の炭田調査や地質調査などの用途に多く用いられました。 ハンドフィード式ボーリングマシンは、現在でも比較的浅い地盤調査を担う機種の主流となっています。 一方、油圧によるハイドローリックフィード式ボーリングマシンは、ハンドフィード式に比較するとオペレーターにかかる負担を軽減した省力型であり、操作性の良さなどから、比較的深度の大きなボーリングに利用されてきましたが、最近では浅層の地盤調査でもその比重を増やしてきています。
ボ-リング手順
①
②
③ボーリングロッド(中空鋼管:定尺3m)を掘削予定深度に見合う本数だけ準備します。 ④ベントナイト泥水(循環水)の準備泥水(循環水)は、ボーリングマシンに取り付けられたポンプによりロッド内を通って先端のコアチューブに送られ、掘り屑と共に孔口に排水されます。掘り屑(スライムという)の除去、ビットに生じる摩擦熱の除去、掘削時の孔壁の安定、崩壊防止には循環泥水が必要となります。 図2 ⑤ロッド先端にビット(刃先:メタルクラウン=図3)の付いたコアチューブと呼ばれる長さ約1mの鋼管を取りつける。 ボーリング孔径は、深度1m毎の標準貫入試験のみ実施する場合はφ66㎜としていますが、調査目的により原位置試験やサンプリングを実施する場合はφ86~φ116㎜の孔径が用いられる。 ⑥掘進(削孔)作業の開始ボーリングマシンのセットおよびロッド、コアチューブ(ビット)の準備が整った段階で、エンジンを始動し、ロッドに回転を与え削孔作業を開始します。 |
図1 調査スペース |
図2 調査手順 |
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図3 ビット |
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⑨
《注意》
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標準貫入試験の手順
①
②
③ ハンマー(図6)の打撃によって15cmの予備打ち、30cmの本打ち(N値を測定する区間)、約5cmの後打ちを行い、本打ちの開始及び終了深さをそれぞれ記録します。 ④
⑤ 本打ちにおいては、打撃1回ごとに累計貫入量を測定します。但し、1回の貫入量が2cm未満の場合は、貫入量10cm毎の打撃数を記録します。 ⑥
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⑧
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図4 調査手順 図5 標準貫入試験用サンプラー 図6 ノッキングヘッドとハンマー |
Point
- 標準貫入試験では、標準貫入試験用サンプラー(スプリットスプーンサンプラー)によって貫入試験(N値の測定)とともに土の乱した試料(たたいて詰め込まれた土)を採取することができるため、土層の判定を行うことができます。 N値は、土の力学的な定数(粘着力、内部摩擦角など)との関係が多く導かれており、これらの関係が建築設計に用いられています。
- 乱さない試料の採取
土の乱さない試料の採取は、土質試験に供する乱さない試料の採取を目的として、軟らかい粘性土や細粒 分を多く含む緩い砂質土地盤にサンプリングチューブを静的に押し込み、試料を採取するものです。サンプリングチューブは、長さ1m、内径75㎜のステンレス製または黄銅製のパイプを標準としている。
調査結果
ボーリングの結果は、ボーリング柱状図に記載します(図7)。 柱状図には、ボーリングで判明した情報を細大漏らさず記入することが重要であり、柱状図の作成にあたっては、ボーリングや標準貫入試験時に採取した試料の観察結果およびボーリング時に記録した掘進速度、掘削流体の状況などを総合的に判断して、土質名等(図8)、地層の境界、各地層の特徴、硬さや締まりの程度、孔内水位、サンプリング位置、原位置試験の実施位置等の情報を記載します。 尚、深度1m毎のN値を折線グラフとして表記しているが、その中間部のN値には比例関係は無いため、その取り扱いには注意が必要となります。 |
図7 柱状図 |
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図8 凡例(土質名) |