地質時代と沖積層・洪積層
地質時代は、地層の上下関係や地層に残る化石の研究を基本として、地球誕生から今日までを時間的に区分したものです。生物の変遷と地質時代との対応は、下表に示すとおりです。表からわかるようにその時代を代表する動物としては、古生代が魚類・両生類、中生代がは虫類、新生代が哺乳類という関係になります。また、地層や岩体に含まれる放射性元素を利用した測定から、現在ではこれらの地質時代が今から何万年あるいは何億年前であったかという地質時代尺度が与えられています。
従来より、第四紀を沖積世・洪積世という言葉で区分して、広く用いられていますが、現在では、地質学の第四紀の時代区分としては、完新世(沖積世と同義)、更新世(洪積世)が用いられています。
「沖積層」は水辺の堆積物、特に河川沿いの堆積物よりなる地層の意味をもっており、「洪積層」は、洪水堆積物よりなる地層の意味です。
昔の人は川辺の堆積物は、その川自身によって洗い出され運搬され、堆積したものであることを認識し、これを「沖積層」いいましたが、これと性質は似ているものの、現在の川筋とは無関係な広い分布をもつ堆積物は、伝説のノアの大洪水の所産であると考え、これを「洪積層」と呼んだのです。
わが国では、前述したように地質時代的な年代単元として、第四紀洪積世(=更新世、氷河時代、約200万年前ないし1万年前)に堆積した地層に対し「洪積層」と呼び、第四紀沖積世(=完新世、現世、後氷期、1万年前ないし現在)に堆積した地層に対し「沖積層」と呼ぶのが一般的です。
沖積低地
低地とは平地であり、かつ隣接する河川や海・湖などの水面からの相対的な高さが低い土地をいいます。この低地のうち第四紀沖積世(更新世末~完新世)に河川や海の力により堆積してできた場所を沖積低地といいます。軟弱地盤が多く、圧密沈下、液状化などの問題をもつ地盤となっていることが多いため、住宅建設などには注意が必要です。
沖積低地にあっても比較的良好な地盤といえる場所は、河川上流の扇状地、海岸砂州や砂丘などの礫質土、砂質土層からなる地域です。
洪積台地
沖積低地より一段高く、まわりを崖や急斜面で囲まれた平たん地です。第四紀洪積世に低地や浅海底であった場所が隆起して形成されたため洪積台地(段丘)と呼ばれています。
平旦で地層の連続性がよいこと、密実な砂や砂礫層が多くの場合、比較的浅い場所に分布しています。地下水が低く、N値の小さい粘土も過圧密であることなどから、建築基礎地盤として好条件にあることが多い地域です。