地盤調査の重要性
地盤のはなし
関東平野
私たちが生活しています関東平野は、まわりの山地から運ばれた土砂等によって埋め立てられてできた平らな土地で、その広さは日本で最大です。また、堆積物(地層)の厚さから平野の底は海面下4000mに達していると言われています。
もし、堆積物がなければ、日本海と同じくらいの深い海になっていたかもしれません。
その厚い堆積物(地層)は、沖積層と洪積層とに分類されています。
沖積層=低地を構成する地層
形成年代が新しく(約1万年前以降)、主に粘土、砂、礫からなる一般に未固結で、含水比、間隙比が高く、軟弱なまだ固まっていない地盤。
洪積層=丘陵地や台地を構成する地層
形成年代が古く(1万年~200万年前)、主に粘土、砂、火山噴出物(ロームなど)からなり、広範囲に分布した、やや固結した地盤。
一般に土の名前はその土の構成する土粒子の大きさで分けられています。
日本建築学会では、次のように分類されています。
粘土(粘性土)
粒径が0.074mmよりも小さな粒子で構成されている土。沖積粘性土は圧密沈下の注意が必要です。
砂・礫(砂質土)
粒系が0.074mmよりも大きな粒子で構成されている土。
ローム(粘性土)
火山灰の堆積によって形成された土です。赤土とも言われ関東地方に広く分布している「関東ローム」はその代表です。
自然状態ではかなりの地耐力をもつが、一度水に洗い流されて谷間などにたまった土は極端に強度が低下するので、注意が必要です。
軟弱地盤のはなし
低地には軟弱地盤が多い
低地には雨水や地下水が四方から集中して集まります。
雨水は背後の高台から微細な泥を運んでくるため、何千年という長い歳月の間に厚く堆積して軟弱層を形成しています。
河川流域にこういった傾向が見られます。
東京都内では、石神井川流域、善福寺川流域、のみ川流域等があります。
人為的に形成された軟弱地盤
自然に生成した地盤の良し悪しではなく、人為的に造成したことに原因のある軟弱地盤。
・広域埋立て地 ・もともと軟弱だった土地に施された盛土 | ・十分な締め固めの行われていない新しい盛土 |
・浄化槽やガラなどを除去した後の埋め戻し ・高い木など植栽の抜根後の埋め戻し | ・工作物沿いの不安定な掘削埋め戻し地盤
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不動沈下ってなんだ
(不同沈下の詳細はこちらにも不同沈下はなぜ起きるのか)
沈下
軟弱地盤には自然に生成された場合と、人為的な造成等により出来上がってしまう場合があることはおわかりいただけたと思います。
この軟弱な地盤の上に建物を建てた時に沈下が発生しやすくなります。
不同沈下(ふどうちんか)
不同沈下とは、建物の位置によって沈下する量が異なる沈下のことです。
建物の重い部分や地盤の弱い部分が他の部分に比べ、大きく沈下することで発生します。
木造住宅の不同沈下障害
障害程度 | 不同沈下障害の状況 |
小 | モルタル外壁・コンクリート犬走りに亀裂が発生する。 床に不陸を生じ、布基礎・土間コンクリートに亀裂が入る。 |
中 | 壁と柱の間に隙間が生じ、壁やタイルに亀裂が入る。 窓・額縁や出入口枠の接合部に隙間が生じ、ブロック塀など外部構造に被害が生じる。 |
大 | 柱が傾き、建具の開閉が不良となる。床が傾斜して支障を生じる。 柱の傾斜が著しく倒壊の危険がある。床の傾斜もひどく使用困難である。 |
基礎のはなし
軟弱地盤の上に建築を考えてゆく場合には、不同沈下を避けるために基礎の仕様を良く検討する必要があります。
標準的な連続布基礎
断面形状が英文字の「T」を逆さまにした形をしている事から「逆T字型基礎」とも言われています。
弱い地盤でも、家は建つ!
戸建住宅の地盤に不安があるケースは全体の2割程度と言われています。
もし、あなたの土地がその2割のうちのひとつだとしても大丈夫です。
豆腐の上に直接重りを載せると、重りは沈んでしまいます。 柔らかい地盤に家を建てると家は傾いてしまいます。 |
豆腐との間に板を置くと、重りは沈みません。 地盤にあった基礎を設計することが大切になります。 | |
地盤が弱くても基礎幅を広げることによって対応可能! | ||
地盤の性質をしっかりと把握し、その地盤にあった基礎を設計することがとても重要なのです。